この本は、こんなに人におすすめ
- どうして正義の制裁を加えることに躍起になる人が存在するのか
- 他人を許せない時、脳内では何が起きているのか?
- 「許せない」という感情に支配されないためには?
時に自分自身が、過去に感じた感情が蘇った時、「許せない」という気持ちが湧き起こるのを感じた。
この感情は、どういった仕組みで起きるのか気になった。
マイナスな感情ではあるが、とても爆発的なエネルギーであるため、上手にコントロールする必要があると感じた。
その謎を解き明かしたくて、本書を手に取った。
我々の脳は、わかりやすい攻撃対象を見つけると、罰することに快楽を覚えるようにできている。
正義の制裁は、ドーパミン(快楽物質)を放出させ、正義を振り翳す中毒者になってしまう。
元々、そのような性質があるのだ。
正義中毒になると、「我こそは正しい」という感覚に陥る。
そうなっては、双方にとって建設的な会話を構築するのは難しいのだろう。
正義中毒になってしまった時、どのように対処することができるか?
それは、客観的に今そうなっている自分を認めることだ。
そうすることで、一時的な感情に乗っ取られるのを防ぐことができる。
また、対立することで主張するのではなく、並列で処理することが重要ということも説いている。
お互いの感覚を受け止め、共有し、互いを包むこと。
答えよりも、お互いが歩み寄るプロセスの方が真価があるというのが著者の主張だ。
たしかに、答えが決まるという結果を順を追って紐解くと、双方の考えを理解することが必要不可欠だ。
人は、自分のことを大切にされたいと願っているから。
だから、自分の正義を振り翳して、「自分は正しい」を主張しても、心地よい時間を過ごせるとは到底思えない。
正義中毒から解放される、一時的感情から距離を取れるようになることは、良好な人間関係において欠かすことのできない潤滑油だ。
メタ認知を鍛えることで、お互いにとって実りある時間を過ごすきっかけ作りを促進することになる。
消耗合戦ではなく、生産を重視する言葉選びを心がけたいと感じさせる内容だった。
脳の細胞(前頭前野)は、加齢とともに死んでいくというのは悲しい事実だ。
しかし、老けない脳のトレーニングをすることで鍛えることができるのは朗報だ。
分析的思考・客観的思考を行なってくれる前頭前野を鍛えるためにできることは下記だ。
- 新しい体験をする
- 不安定・過酷な環境に身を置く
- 絶対に読まない本を手に取る
新しい体験については、いつもやっていることをやめて、やったことのないものに挑戦することを指す。
行く道を変えるなど、小さな変化から始めることができる。
いつも行く店・注文を変えるなど口にするものにも気を遣うことで冒険をすることができるので存分に楽しんでいこうと思った。
年齢関係なく、「悔しい!」「許せない!」という感情は、起こってほしくなくても自然と湧き起こったりする。
そういう時に、本書を読み、正義中毒になってしまう理由や仕組みを知れば、一歩引いて自分を見ることができるようになると思う。
「許せない!」に限らず、他人への不満、憎しみ、怒りに似た感情が起きた時も同様だ。
最新科学からアプローチされた、新版「人は、なぜ他人を許せないのか?」は、日常を穏やかに過ごしたいと思っている全人類に手に取って欲しい。
あなたの負の感情には、大切な価値観が眠っているのかもしれない。